2020.03.26
Special Interview
川上ミホ(フードディレクター、料理家) × バーミキュラ フライパン
2020.03.26
Special Interview
川上ミホ(フードディレクター、料理家) × バーミキュラ フライパン
シンプルでセンスのある料理と、洗練されたライフスタイルで多くのファンを持つフードディレクター・料理家の川上ミホさん。バーミキュラを日々愛用している川上さんに、バーミキュラ フライパンの使い心地や道具への想いをうかがいました。
バーミキュラの鍋とライスポットは、ご飯炊きや炒めもの、煮込み料理などに家でもお店でもデイリーに使っています。つやつやのおいしいご飯が炊けて料理も上手にできるので、料理をするための道具としてバーミキュラ製品には魅力を感じていました。ライスポットの次は何が出るんだろう?と思っていましたが、フライパンと知って驚きました。なにせ、鋳物ホーロー製のフライパンなんていままでにないですから。同時に、家電製品へは向かわずに、職人によるもの作りにこだわっているところに、バーミキュラさんの一貫したポリシーを感じました。
鋳物ホーローのフライパンについて一番気になっていたのは重さと使い勝手です。とはいえ、フライパンは軽すぎてもよくない。ある程度の重さが必要で、コンロの上に置いたときの安定感が大事です。でも、重すぎると調理で振ったり、洗ったりするのが大変です。
バーミキュラ フライパンを実際に持ってみて、まず薄さと軽さに驚きました。サイズ感もよく、女性でも片手で持てるし、振ることもできます。また、ハンドルと本体のつなぎ目がなめらかで汚れがたまらず、洗うのが圧倒的にラクなところもうれしいですね。
大切に使いたくても繊細すぎる道具は使いにくいものですが、バーミキュラ フライパンは薄いのにプロの使用にも耐えられるホーロー加工が施されていて、そんなタフさもありがたいです。
私にとって、道具はデザインが美しいことも必要で、愛着を持てる理由の一つなのですが、このフライパンはユニセックスでかっこよく、使うと生活が上質になります。スタイリッシュでキッチンの壁にかけても絵になり、出しておいて自慢したいくらい。鉄のフライパンは取っ手まで熱くなってしまうので、フライパンごとテーブルに出すのは、やけどの心配から抵抗がありました。でも、このウッドハンドルなら安心ですし、食卓感があって美しい。使っていくうちに味が出てくるのも素敵なので美しく使っていきたいです。
性能面では、食材の表面をしっかり焼いて、中の水分は逃さずに柔らかく仕上げるという、正しい意味での焼き上げができるところが魅力的です。スーパーの食材で、毎日シンプルにおいしい料理が作れる。シンプルな調理ほど素材の味を引き出すことが大事ですが、旨みを凝縮して素晴らしい香りと食感を出してくれるバーミキュラ フライパンは優秀です。また、香ばしさは素敵な調味料でもあり、きれいな焼き色をつけて香ばしい風味を引き出してくれるのは、いい道具である証です。野菜や豆腐、ハンバーグなどの肉料理もおいしく焼けます。以前は食材や料理によって鉄やテフロンのフライパンを使い分けていましたが、これからはバーミキュラ1つで、フルに使っていけます。
ほかのフライパンとも明らかに違います。焼きもので失敗しがちな、なすを例に挙げると、鉄製では皮がくっついて周りの水分が出てしまい、仕上がりがぼろぼろになることが多いのですが、バーミキュラなら焼き目はカリッと香ばしく、中は水分を保ってとろりとジューシーに焼けます。難しい焼き魚も皮はパリパリ、身はふっくら。魚焼きグリルよりも水分が抜けずにおいしくできて、片づけもラク。煙も出ないし、魚油が逃げ出さず、臭みも広がりません。フライパンでおいしく魚が焼けたら、魚料理のハードルが下がりますよね。ポイントはフライパンに魚を入れたら、あとはフライパンを信じてまかせること。皮がくっついた状態で無理にはがさず、自然とはがれてくるまでじっくり待つことです。いじりすぎると必要以上に火が入ってパサパサになるので、触らないのが上手に焼くコツです。
家庭では、イージーに使えるノンスティック加工のフライパンが主流ですが、ノンスティック加工のフライパンはコーティングがはげたら捨てられてしまいます。自分のところに来ては1~2年後に去っていくフライパンは、捨てられる前提で作られたもののようで、なんだか寂しくなります。加えて、誰が作ったのかわからないものには愛着が持てないものです。その点、バーミキュラは大切に作られた、いいフライパンだとわかっているので愛情を持てる。大事に作られたフライパンとは、上手につき合っていこうと思えます。もし、失敗してしまったとしても、つき合いをやめようとは思わないし、うまくつき合おうと努力する。人間関係も同じですよね。道具は料理をおいしくするための相棒で、つき合えばつき合うほど相手のことがわかります。道具といい関係を築くことが、長い目で見て料理上手につながります。
道具ときちんとつき合うことは大事なことで、まだ幼い娘にも日々話しています。私自身、母と祖母から譲り受けた道具があり、これを見ると実家の味や、母や祖母の姿を思い出します。私から娘にも愛用する道具を受け継いでいくことが自分の中で大切なことなのですが、長く使い続けたいバーミキュラは、娘に伝えたい道具なんです。
バーミキュラは、便利さだけに特化したフライパンではないですが、これで料理をすると楽しい。料理の上達を実感できるフライパンです。レシピ通りに作るとしても、食材の香りや焼けたときの香ばしさ、色の変化を感じること、油の音を聞くことなど、五感を使って自分のさじ加減で調整し、確認しながら料理を作ることは、決して面倒なことではありません。自分の感覚をアップデートできるチャンスであって、それは楽しい時間です。バーミキュラは、そんな料理の楽しさを気づかせてくれるフライパンです。
焼くという、シンプルで誰もが行う調理法で抜群においしくできる、野菜と魚のレシピを川上さんがご紹介します。薬味や調味料をアレンジすれば、バリエーションが広がります。
川上ミホ
Miho Kawakami
Profile
フードディレクター、料理家。JSA認定ソムリエ、AISO認定オリーブオイルソムリエ、オーガニック・コンシェルジュ。国内外のレストランでの経験を経て独立。食のスペシャリストとして、各種メディアをはじめ、レストランプロデュース、商品開発アドバイザーなど幅広く活躍。イタリアンと和食をベースにした、シンプルでストーリーのあるレシピと感度のよいスタイリングに定評がある。東京・目黒区東山でプライベート・レストラン「5 quinto」を主宰し、同名で食を中心としたライフスタイルブランドも運営。
ホームページ
www.mihokawakami.com
5 quinto
www.5-quinto.com
撮影/有高唯之
文/鹿野育子